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必見! 『殺しが静かにやってくる』

1889年といえば明治22年。
大日本国憲法が発布されたこの年を境に明治時代は前期と後期に分けられる。
明治前期は新政府への不満分子の鎮圧に明け暮れていた時代で、後期は‟富国強兵”の時代だ。
戊辰戦争から東北~函館戦争。不平士族の乱に福島・加波山そして秩父事件。日清・日露戦争。大逆事件。明治は流血の時代でもある。
だが、ここでは明治時代の話題から離れよう。
アメリカではこの年をもって西部開拓時代の終結とされている。

その頃の話であろう。
セルジオ・コルブッチ監督作『殺しが静かにやってくる』(1968)を観た。
傑作の誉れ高いとつとに聞いていたが、なるほど、これは凄い。

~人の命が軽んじられ、人の命が商取引されるところ、賞金稼ぎがやってくる
セルジオ・レオーネ監督作『夕陽のガンマン』(1965)のオープニングのテロップで提示される文句だ。ベテランと駆け出し、二人の賞金稼ぎが共闘してならず者を追い詰めるこの映画はマカロニ・ウェスタンの金字塔と呼ばれているが、たぶん、コルブッチは『夕陽のガンマン』に対するアンチテーゼとして作ったとみられる。

内容は西部開拓時代が終わろうとしている頃、いや、終わったころというべきか。
ユタ州の山間のとある町。地元の判事が山に籠った失業者を‟山賊”とみなして賞金をかけている。その賞金を目当てに賞金稼ぎが群がる。選挙戦に勝ったばかりの次期州知事は公約の懸賞金制度を廃止しようとしている。雪深い山で飢えと寒さに耐えながら失業者達は新知事の恩赦をひたすら待っている。賞金稼ぎは「今のうちに稼げるだけ稼いでおこう」とやっきだ。
それで、最後は山の衆は騙し討ちにあい、一か所に集められて手足を拘束されたうえに、一斉射撃をうけて皆殺しになる。
賞金稼ぎは言う。
「世の中変わったものだ。黒人が白人と賞金の額が同じとは!」
「悪党を成敗するのは愛国者の義務だ」
ジェノサイト!
救いようのないドラマだ。

西部開拓の時代は終わっても、銃にものをいわせて悪を裁く時代は終わらなかった。
セルジオ・コルブッチの演出は粗い。
だが、怒りがひしひしと伝わってくる。
そうとう怒っている。
製作年を思い出していただきたい。1968年だ。世界的に平和運動が沸き上がった年なのだ。
1970年には第一次世界大戦の頃のメキシコを舞台に非暴力革命を目指す大学教授と学生たちに、外国から来た武器商人がからむ『ガンマン大連合』(原題の意味は「立ち上がろう、同志たちよ」)を作っている。
練り上げた演出より、いまやることをやる。
やっつけ仕事の底力を食らえ!

今年は明治149年。

殺しが静かにやってくる・・・
みんな、立ち上がれ!





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