FC2ブログ

皆殺しの島

今年2018年6月26日は小笠原諸島本土復帰50周年の日である。
50年前は1968年。
この年の正月3日にアニメの『ゲゲゲの鬼太郎』が放映を開始している。
じつは、記者が最初に小笠原を意識したのが、この鬼太郎シリーズの1エピソードの『吸血妖怪団』なのである。

舞台は小笠原。
そこに吸血樹が植わっている(血を吸う樹なのだが移動できるわけではないので食虫植物のように獲物がくるのを待っているだけなのかもしれない。なにしろ50年も前の記憶だ。筋のほとんどがあやふやになっている。)。
吸血樹は枯れかかっていて、吸血仲間のドラキュラにたのんで恐山にある‟妖怪血液銀行”の血を奪ってこさせる。吸血仲間はマレーから西アフリカから、その他諸国から見たこともないグロテスクな妖怪が小笠原にやってくる(舌の先端が矢じりのようになっていてビューっと伸ばして獲物を突き刺すギョロ目の妖怪が怖かった)。それで、鬼太郎とその仲間が小笠原にやってきて、吸血妖怪団と戦うのである。鬼太郎は血を吸われて戦闘不能になるわ、吸血樹は栄養ドリンクよろしく‟妖怪血液”を飲んで活力を取り戻すわで、さあ大変!
吸血団は鬼太郎の仲間で始末がついたが、吸血樹は根っこから新芽が続々と生えて拡散してゆく。だが。目玉おやじが島の‟根切り虫”を動員して根をずたずたに切らせたので吸血樹も一巻の終わりになった。鬼太郎も‟妖怪血液”で元気ハツラツになったのである。

さて、小笠原諸島の位置を確認すると、東経142度北緯28度~24度で、南へ30度下がると原作者の水木しげる氏が送られたニューギニアがある。ちなみに30度北へ上がると、そこは樺太の最北端である。緯度で言えばなんと旧日本軍の勢力圏の真ん中ではないか。
もうひとつ横道にそれた話をしよう。
‟根切り”というと、白土三平の『忍者武芸帳~影丸伝』で信長が一向衆をおう殺する場面で「根切りじゃ」と言って高笑いする姿が思い出される。おう殺というのは一人残さず殺すことである。
小笠原での吸血妖怪団との戦いは‟皆殺し”で終結したのである。

原作は1968年8月18日より少年マガジンに3週にわたり短期連載された。多分、小笠原返還に触発されて描いたのであろう。
原作のタイトルは『血戦小笠原』。
思うに、水木氏は‟小笠原”から‟決戦(血戦~血みどろの戦い)”を連想し、そこから吸血鬼との戦いの話にもっていったのではあるまいか。
テレビでの放映の折、タイトルを変更したのは、子どもたちに付き合って観る大人たちに『血戦小笠原』のタイトルから生々しい記憶を呼び覚まさせまいとする配慮からきたものと察するのは穿ちすぎか。少なくとも記者には水木氏が「勿不忘」の意思で、返還に喜ぶ世相にあえて『血戦小笠原』のタイトルを突き付けたと思えてならない。
血みどろの戦いを体験した水木しげる氏なればこそ。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)